庭の手入れをしていると、よく聞く言葉があります。

「雑草が生えて困る。」

確かに、雑草は庭を管理する上で厄介な存在です。

気がつけば伸び、抜いてもまた生えてくる。
夏になれば、その勢いはさらに増します。

だから「雑草=悪いもの」と考えてしまうのも、無理はありません。

でも、少し見方を変えてみると、雑草にも役割があります。

何も植わっていない土に草が生えている。

それは、土が自分自身を守ろうとしている姿なのかもしれません。

植物が地表を覆えば、土に直接日光が当たりにくくなります。
乾燥も抑えられます。

雨が降れば、むき出しの土よりも土が流れにくくなることもあります。

そして、枯れた草はやがて土へと還っていきます。

もちろん、庭として美しく保つためには、雑草を取り除かなければならない場所もあります。

通路に生えた草。
植木の根元を覆ってしまう草。
他の植物の生育を妨げる草。

そういったものは、きちんと管理する必要があります。

でも、庭の中に生えているものをすべて「悪いもの」として排除する必要があるのでしょうか。

例えば、木の下に自然に生えている草。

そこだけ少し残してみる。

あるいは、杉皮などで地表を覆って、植物が育つ場所と育たない場所をつくる。

そんなふうに、庭を「すべて人間の思い通りにする場所」と考えない方法もあります。

自然の中には、土だけがむき出しになっている場所は意外と少ないものです。

木が影をつくり、
草が地面を覆い、
落ち葉が土を覆う。

植物同士が影響し合いながら、ひとつの環境をつくっています。

庭も、そんな自然の仕組みから学べることがあるのではないでしょうか。

庭に「雑草」という名前の植物があるわけではありません。

人間が庭という場所の中で、必要なものとそうでないものを分けて呼んでいるだけです。

だから私は、雑草をただ敵として見るのではなく、

「この草は、ここに生えている意味があるのだろうか。」

と一度考えてみることがあります。

庭づくりは、自然を消してしまうことではない。

自然と暮らしの間に、ちょうどいい関係をつくること。

すべてを残す必要もない。
すべてを取り除く必要もない。

その庭で暮らす人にとって心地よく、植物にとっても無理のない場所をつくる。

そんな庭を、私はつくっていきたいと思っています。

庭は、暮らしの景色です。

庭屋 緑雨 中村省吾

 

 

 

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