「水やりは朝か夕方にしましょう。」

園芸の本やインターネットでは、よく目にする言葉です。

では、真昼に水をやるのはいけないのでしょうか。

私は、必ずしもそうとは思いません。

もちろん、朝夕の涼しい時間帯に水を与えることには理にかなった部分があります。蒸発も少なく、植物が水を利用しやすい。

一方で、真夏の庭を見ていると、日射を受けた地表はかなりの高温になります。

ただ、土の表面が熱くなっているからといって、根が張っている土の中まで同じ温度になっているわけではありません。

土は深さによって温度が変わります。

そして水には、土から熱を奪い、温度を下げる働きもあります。

そう考えると、「真昼の水やり=植物に悪い」と一括りにするのも少し違うように感じます。

もちろん、植物の種類や土壌、日当たり、季節によって条件は違います。

そもそも園芸や造園には、昔からさまざまな考え方があります。

本を一冊読めばこう書いてあり、別の本を読めば違うことが書いてある。

どちらかが必ず間違っているということでもない。

植物は生き物で、庭はそれぞれ環境が違うからです。

だから私は、庭に「絶対的な正解」はないと思っています。

大切なのは、どうすれば土や植物にとって、無理のない環境をつくれるか。

例えば、杉皮などでマルチングをすれば、土に直接日光が当たるのを防ぎ、乾燥や急激な温度変化を和らげることができます。

雑草も、ただの邪魔者と考えるのではなく、地表を覆うことで土に直射日光が当たるのを防いでいる、と見ることもできます。

もちろん、庭として管理する以上、雑草を取り除く必要がある場面もあります。

でも、自然界を見れば、土がいつも裸になっているわけではありません。

木々が影をつくり、草が地表を覆い、落ち葉が土を覆う。

そうやって、土の温度や水分が穏やかに保たれている。

庭づくりも、そういう自然の仕組みから学べることがあるのではないでしょうか

「真昼に水をやってはいけない」という一つのルールに縛られるよりも、

どうすれば土を必要以上に熱くさせず、乾燥させず、植物が心地よく根を張れる環境をつくれるのか。

私は、そちらのほうが大切だと思っています。

そしてこれは、庭木を植えることにも通じる気がします。

「庭木は水やりが大変」
「落ち葉が大変」
「剪定が大変」

そんな「大変」が一つ、また一つと積み重なると、庭に木を植えること自体が敬遠されてしまいます。

だからこそ、庭をつくる側には、植物を植えるだけではなく、植えた後の暮らしまで考えることが必要なのだと思います。

手間をゼロにすることはできなくても、無理なく付き合っていける庭にすることはできる。

庭には、いろいろな考え方があります。

正解も、不正解も、きっと一つではありません。

その土地、その植物、その人の暮らしに合った答えを探していく。

そんな庭づくりが、私は好きです。

庭屋緑雨 中村省吾

 

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